2015.06.26
できなかった提案。
先日、とあるお宅に現調に行きました。
依頼主は80代の一人暮らしをしているおじいちゃま。
依頼内容は屋根の診断。
室内の天井には雨染みが3か所ありました。
以前に雨漏りをした時に補修をしたみたいで、
現在雨漏りをしているのかはご自身もよく分からない
ようでした。
早速状況を確認するために屋根に上がりましたが、
そこに待ち構えていたのは目を覆いたくなるような
光景でした。
屋根にやってはいけない補修方法、、。
私の見解では室内の雨染みの場所、状況からすると
屋根材(カラーベスト)の下のルーフィングに問題があり、改修方法は
合板を張ってからルーフィングシートを張って新設の屋根材を
葺く方法(カバー工法)などの大掛かりな工事でしか対応ができない状況でした。
簡単な補修では治らない場所です。
おじいちゃま「どうだい?」
この問いに現在の状況、そして改修方法をご説明をしました。
が、、、。
私はおじいちゃまに対して直ぐに直した方がいいですと
言えませんでした。
私の立場からすると、痛んでいる状態に対して提案をしないことは
「プロ」ではなく、失格とも言える行いなのかもしれません。
ただおじいちゃまの環境、健康状態、通常の雨では漏らないことなどを
踏まえると、直ぐ直すことが最善とは私には思えなかったのです。
壁なども大丈夫か気になっていたおじいちゃま。
壁もメンテナンス時期にはきていました。
屋根のカバー工法、外壁塗り替えをやるとなると、ざっと200万以上はしてしまいます。
直すに越したことはありませんが、おじいちゃまが「やってくれ」ではなくて
「どうしたらいいかな?」と私の判断に任せるような感じでしたので
先程にも書いたように改修の提案はしませんでした。
私は趣味にお金を使ったり、行きたい場所に旅行したり、美味しい食べ物を
食べたりと、おじいちゃまにはもっともっと他のことにお金を使って
ほしいと思いました。
このような感情をお客さんに対して勝手に抱いてしまうことは
おこがましいことだったのでしょうかね。
答えは今でもわかりません。
会社としては私情を優先させて判断をすることはNGです。
私もこの時は私情で判断していました。
ただ会社の理念に沿った考えで判断した場合、今回の判断は
正しいのではと社長から言っていただきました。
この出来事から日にちが経ちますが、おじいちゃまの事を
思い返してしまいます。
そこまで思うのは何よりおじいちゃまの優しい笑顔を体感したから
なのかもしれません。
おもしろきこともなき世を おもしろく